Skip to main content

食べられるドングリの見分け方(ドイツ編)


この記事は CAMPHOR- Advent Calendar 2014 の12日目の記事です。

おはようございます、こんにちは、こんばんは@siriusjack808です。 普段はひっそりと端の方でコンピュータに数値計算をさせています。 今日の記事は道端に落ちているどんぐりを拾って食べたエピソードを紹介します。

forest
近所の森

木の実食

きっかけは夏のインターンでドイツに行ったことだった。

原因は手元の現金不足。8月下旬、僕はとてもお腹を空かしていた。

  • パン (50x10x10cm 1ユーロ)
  • じゃがいも(1kg 75セント)
  • にんじん(同じく1kg 75セント)
  • スープコンソメ(12個入り2ユーロ)

これらが主な食料だった。 特にじゃがいもとにんじんは最高の食材で、安くで多く手に入ったので、 基本的にこれらを食べていればどんなにお金が無くても生きていける。 そんな気がしていた。

(注1: 実際には、ドイツのスーパーではじゃがいもとにんじんに限らず、野菜・フルーツ全般が安いです。 例えば、日本だと高い"もも"も1kg 1ユーロと法外の値段で売られています。)

ある日曜の昼過ぎ時、お腹を空かせた僕はふらっと近所の森に来ていた。 日本では平地に木が鬱蒼と茂っている光景は少ないが、 ドイツでは散歩をしていると簡単に見つけることができる。

ふらふらと数時間、森の中をさまよい歩いていると、 馬に乗って散歩をしている少女、自転車に乗って走り抜けるおじさんやおばさん、ふらりと散歩に来た近所に住んでいるっぽいおばあさんまで、様々な人を見かけることができたが、 その中でも当時最も僕の興味を惹いたのは、「コツン、コロコロコロ」という何かが落ちる音だった。 はじめのうちは何の音なのか分からず、どこから音が聞こえてくるのだろう?と周りをウロウロしていたが、何度も同じ「コツン」という音を聞くうちにだんだんと感覚が研ぎ澄まされ、音のする方向が分かってきた。しかし、音のする方向を見てはみるが、ぱっと見ではどの場所かまでは分からない。少し気になったので音のする方へ歩いて行くと、そこには辺り一面にどんぐりの実が散乱していた。しばらくじっと見ていると、目の前でどんぐりがいくつも上から降って来た。「もしかしてこれは行けるんじゃないか?」僕はそう思った。食べて見たいと思った。

まず、落ちてきたどんぐりをしげしげと眺めた。大体10分くらい眺めていたと思う。 その後は近くの小石に置いて足で踏んづけて割ってみたり、割った断面で土で汚れていない部分を少し爪でほじって食べて見たりしていた。なんとなくオーブンで焼けば食べられそうな味だったので家に持って帰って食べようか?どうしようか?などと考え始めた頃にはもう夕方だった。ただ、あまり調理法に自身がなかったので、しばらく森のなかで立ち尽くしていたのだが、そうこうするうちにちょうど近くを初老のおばさん2人が僕の近くを通りかかった。「彼女たちならきっと美味しいいどんぐりの食べ方を知っているに違いない」、そう思った僕は、拙いドイツ語と英語でどうやって食べるのかを聞いてみることにした。(今から思うと20代前後の背のちっこい人がどんぐり拾ってしげしげ眺めている光景を目撃して、心配になって近づいてきてくれたのかもしれないと今になって思う。)

(僕)"Kann ich essen das??" (Can I eat this?) (おばあさん)"Nein...Nein..." (No...No...)

返ってきた言葉は簡単なドイツ語だったのですぐに理解できた。「食べられない」と彼女は言っていると。 その後、おばあさんはゆっくりと丁寧に色々教えてくれた。 そのどんぐりが上の木から落ちてきているということ、 近くに落ちている葉っぱを拾って、その葉っぱがどんぐり木の葉っぱだということ、 その他、色々…。

複雑なドイツ語を話す能力のなかった僕は身振り手振りと英語で話すことしかできなかったが、 一応なにかを汲み取ってくれていたようではあったし、僕もおばあさんから何かを汲み取っていた(ような気がする)。 しかし、最後に僕の持っているどんぐりを指さしていった言葉は

(おばあさん)"Animal... Animal"

つまり、それはどんぐりが動物の食べ物だということだった。 すぐには信じられずもう一度聞いてみたが、やはり答えは

(おばあさん)"Animal... Animal"

だった。つまり、僕の拾っていたどんぐりは動物の食べ物で、 人間の食べるものではないと優しく教えてくれていたのである。 結局、その日はそのどんぐりは食べなかったが、 後日諦め切れず後日オーブンで焼いて食べてみると、他の木の実に比べると美味しくはなかった。

ちなみにその日は心優しいおばあさんが、

(おばあさん)"Hunger??"(Hungry??) (僕)"Ja! Ja!"(Yes, Yes!)

というやりとりの後、 あまりの残念さに見かねたのか僕に5ユーロをくれたのでそのお金で近くのレストランでご飯を食べたのだった。

後日談

ドイツにいると森に限らずいろんなところにどんぐりやら木の実が落ちている。 中には本当に美味しいものもあって、会社の同僚に教えてもらった朝顔のたねを大きくしたような木の実はとても美味しかった。 結局、美味しいどんぐりを見分ける方法は現地の人に聞くのが一番なのかもしれない。

nuts
美味しい木の実

明日は@ivstivsです。
お楽しみに!


One thought to “食べられるドングリの見分け方(ドイツ編)”

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です